吸音材の種類

吸音材として用いられる素材には、いろいろなものがあります。

それぞれ吸音の特性にも違いがあります。

一般的によく使われる素材としては、以下の種類が代表的なものです。


①グラスウール

グラスウールとは、『glass wool』で、直訳するとガラス綿となります。

つまり、ガラス繊維を綿状に加工した素材です。

断熱材としてもよく用いられます。

ガラス繊維は、音のエネルギーを効率よく熱エネルギーに変換することができ、繊維が積層の構造になっており、間に空気の層があり熱をためることができます。

そういった性質が、吸音材として高い性能があるとされ、最も多く使われる素材です。

原料としては、主に資源ごみとしてのリサイクルガラスを、高温で溶かした状態のガラスに、遠心力を加え、細かい繊維状に加工してできています。

リサイクルガラスを使用していることから、価格も安く、環境にも優しい素材であるといえます。

短所としては、施工時繊維がはがれやすく、触れるとチクチクするので、扱いにくい面があります。

吸い込むと、健康を損なうリスクも考えられます。

長所としては、加工がカッターナイフで簡単に切れるので、施工しやすく、コストパフォーマンスが高いところです。


②ロックウール

グラスウールと同じく、人造繊維の繊維系断熱材で、鉱物から作られています。

グラスウールと同じく、音の振動が、熱エネルギーに変わること、音を吸収し、消音しています。

周波数特性として、グラスウールと比べると、多少低音域から吸音の効果があるとされています。

短所としては、グラスウールと比べると少し価格が高く、施工時に繊維のチクチク感があるため、触ると不快なところです。

長所としては、耐火性能があり、防火の面で安心して使えるところです。

また、遮音性、防音性も保ちながら、反響音を適度に吸音できるところが、優れた素材であるといえます。


③PETウール

PET繊維は細くすると、吸音性能が高く、バインダーを工夫することで、へたりにくく、反発力の強い製品になります。

ペットボトル再生材によるポリエチレン繊維のウール状で、軽くて吸音性が高いです。

チクチクしない安全性の高い素材で、ロックウール、グラスウールと比べ、長期間性能を保ちやすいといえます。

また耐保水性があり、湿気のある環境でも、カビ、虫の発生を防ぎ、建物を守ってくれます。

流通量がまだ少なく、価格面では割高であるといえます。


④ヘンプウール

ドイツ等で開発された自然素材のヘンプ断熱材。

ヘンプ(産業大麻)を使った建材は、欧米で近年注目され、ヘンプの植物としての成長の速さと強さから、循環型資源として注目されています。

農薬や化学肥料を使わずに、わずか100日ほどで3から4mほどまで成長できます。

今後自然系断熱材のホープとなることが期待されます。

特徴としては、肺に達する微細繊維がなく、運搬時施工時にも人体に悪影響がありません。

肌に触れても、チクチクした感じがなく、カッターナイフや断熱ナイフ等で簡単に切ることができます。

ヘンプ繊維は、虫、ネズミ等が嫌う成分が含まれ、タンパク質を含まないため、カビ、ダニ等の害がないとされます。

ヘンプ繊維は、吸水性がないため、結露が起こっても吸湿せず、性能を保ちます。

また、防音効果にも優れ、ヨーロッパでは、自動車の防音断熱材として採用されています。

炭酸ナトリウムによる耐火処理をしており、燃え上がることはありません。

吸音性能は、弊社の調べるところでは、グラスウールと同等の性質があります。

熱伝導率:0.039W/mk  ドイツ工業規格で、グラスウールと同等レベルです。

熱抵抗:1.32 (50mm)

吸湿率:7% ドイツ工業規格52620

引張強度: 0.18N/㎟ ドイツ工業規格18165

耐火性: B2(標準的可燃度) ドイツ工業規格4102

耐性: 腐敗、カビ、ネズミ、害虫

以上 優れた特性があるといえます。

国内では、流通量が少なく、価格面が高いですが、今後、SDGs的な観点から、私個人的には、この素材が断熱材吸音材として国内に広がればと願っています。


他にも、フェルトやウレタン系の吸音材等あると思いますが、これまであまり扱ったことがなく、勉強不足のため、また新たな吸音材があれば、上げてみたいと思います。